先日、なかなか時間が取れないと言いつつ、久々に写真撮影に出ました。
そこは滋賀県下一の落差を誇る滝「楊梅の滝」です。
日の出撮影も難しいんですが、滝の撮影も結構難しいんです、私には。
…
朝6時32分、日の出の撮影を終えて、朝食をすましたのちそのまま楊梅の滝へ向かいました。
木曜日の平日なので全く人の気配がありません。
しかも想像していたような滝見ルートとは違って、結構本格的な登山コースの途中にあるようです。
コースの入り口にはこんな看板が…
げっ!熊!!!
ゲッ!ハチ!!!
「イプルギのコバ」?ってどこやねん…!?
いきなり出陣意欲を損なう看板です(^。^;)
でもこれって本格的な登山者への警告であって、滝を見に行く分には大丈夫なんでしょうという浅はかな考えで入山しちゃいました。
それが恐怖の始まりです…
滝は下から”雌滝(め)”~”薬研の滝(やけん)”~”雄滝(お)”と続きます。
さて、のしのしと少し険しい山道を登り続けると、何時しか心地よい落水の音が聞こえてきます。
近づくにつれその音は激しくなります。
すると目の前にはこれぞ滝って言う風情の雌滝が登場です。
手前には写真を撮ったり、弁当を食べたりできるスペースが木の板で設置されています。
山のイオンを浴びれる絶好の場所です(*^-^)b
目的はここよりも上の雄滝にあったもので、ココはそそくさと出発。
なによりもここへ到着したのが午前8時でしたので、撮影条件の良い時間は正午までの4時間しかありません。
お昼を超すとこの辺りはどう見ても薄暗くなり、場合によっては逆光という条件にもなりかねません。
この雌滝を超えると沢沿いに険しい山道が続き、途中薬研の滝を横目にさらに足場が険しさを増してきます。
そしてなんだか急こう配に一脚の梯子が現れました。
もう、垂直にも見えるこの梯子を見た瞬間に一人で来たことをかなりのパーセンテージで後悔しはじめます。
どうする、雄滝へ行くのか雌滝で終わるのか…
相談する相手もなく、ただ沢の音を聞きながら自問自答。
めったに作れない時間をこうして無理して作ったんだから、とにかく慎重に登るように心がけることを決意し、梯子を登ります。
「もうダメ、心臓バクバク( ̄○ ̄;)」
「ゲホッ!ゲホッ!( ̄□ ̄;)!!」
とか、一人で叫びながら登ります。
なぜ叫ぶかというと、登り口で見た熊のことが気になって、気になりだしたら止まらなくなって、鈴でも持ってくれば良かったと後悔しながら、とにかく「人間がココにいるぞ!」と言わんばかりの独り言を叫びながら登ります、登ります…ああ、登ります。
熊ってちょうど今頃、冬眠前の食事のために激しく行動してるんじゃなかろうか…
そんなことを考えると、四方八方が気になってしょうがないです。
そんなこんなでようやく雄滝にたどり着きます。
少し水量は少ないけど、やはり見どころはいっぱいありそうです。
疲れた体にムチ打って撮影開始!
しかし、雌滝と違ってドッシリと撮影できる場所がなかなか確保できません。
急斜面と岩場だらけで大変です。
足元はすべるし、機材は気になるし、でもあれも撮りたいあそこも撮りたいと雄滝の周辺を移動しまくりです。
そんな時、時々後方から「パキッ」とか音がするんです。
ほとんど落水の音でかき消されるんですが、確かになにかの音がします。
音がするたびに「あー!」とか「おら、ワレッ!」とかわけのわからん単語を叫びます(^。^;)
それでも必至でカメラの設定をいじくっているときに、とうとうそいつが現れちゃいました。
私のすぐ横で…
「ハァハァハァ;…ワン!ワン!ワンッ!」
って、猛然と私に吠え掛かる…何者かが・・・
もう、びっくりしたってものじゃないですよ。
覚悟を決めた私の叫びはわけのわからん遠吠えでした。
そいつが犬だと認識するのに少し間がありましたから…
と同時に「なんでこんなところに犬が???」
私がびっくりしたのを確認したら、とっとと滝壺にザッブーン。
一潜りしたところへこの山の監視員が来て「おい、いくぞ!」だって。
ずっとマニュアル操作してたから、ピントを合わす暇も与えてくれず、ピンボケの元気な山犬です。
そのあと山の急斜面を登ったり下りたり、滝壺にザブーン(^o^;)の繰り返しです…なんて元気なんだ。
監視員さんに単独登山をとがめられるかと思いきや、ここから30m下の山道にスズメバチの巣があるから気を付けてくださいとのこと。
「あ、は、わかりました。気を付けます(・_・ゞ」
ということで、元気な山犬とともに奥地へ去って行きました…
つくづく、私の変な叫び声、どう思われたんでしょうね(^。^;)
恥ずかしくてたまりませんわ。
ちょうど正午ごろに何とか撮影も終わり、ちょっと散策して展望台の方へも行ってみました。
一応この滝見台から雄滝が望めるんですが、望遠でも使わんとその迫力は表せそうにありません。
300mmも持ってきてたけど、もうレンズ交換する気力も残ってません。
途中で見晴らしのいいところから琵琶湖を撮影して下山しました。
私が一度は行ってみたいと願う、沖島が見えますね。
多分あれ、そうだと思います。
一息ついて下山に臨みます。
雌滝に着くと一組の若いカップルがキャッキャッとピクニックを楽しんでます。
「すみません、写真撮っていただけますか?」って私にコンデジを託してこられます。
私がいかにも写真家みたいな装備でいるから、さぞかしきれいに撮ってもらえると思ったかどうかはわかりませんが、はっきり言って初めて触るカメラにさっぱり(^。^;)
まあコンデジだからオートでそれなりに綺麗に撮れるでしょう。
あとは構図だけだから、それは任せてって感じ(笑)
「上にもまだ滝があるんですか?」
って聞かれて、「あるにはあるけど…」チラッと無邪気な女の子を見て「山道がかなり荒れてるんでこの雌滝で十分楽しめますよ」と彼氏の方に「止めとき」光線を発しておきました。
山道入り口へ戻り、もう一度色々な注意書きを読んでみて反省します。
まず単独登山禁止、そして入山するには入山メモを残さなければなりません。
もし、滑落でもしていればいろんな人に迷惑をかけることになります。
自分だけの問題ではないのだと改めて感じます。
でもなぁ、平日の木曜日に私の我ままな趣味に付き合ってくれる変わり者はいないしなぁ…σ(^-^;)
※ 2011年12月4日
楊梅の滝の撮影素材で動画を作ってみました↓